12月22日金曜日。
私は午後半休取得のため、お昼に仕事を(無理矢理)切り上げた。
妻と箱根に行くためである。
クリスマスの過ごし方
世の中はクリスマスムード一色だが、私達はクリスマスという言葉が似つかわしくない"温泉地"に向かうことになっていた。
これが私達のクリスマスの過ごし方なのである。
妻と交際し始めた当初は毎年クリスマスになると、都会のイルミネーションを見に行ったり、おしゃれなレストランで食事したりと、いわゆるクリスマスデートを楽しんでいた。
しかし、現在の私達はこう思っている。
人混みがだるい
と。
クリスマスはどこに行っても人が多く、レストランも満席。
人混みの中、イルミネーションも見たところで、「ああはい、たしかに綺麗だと思います」程度の感想しかない。
(そもそもライトなんだから綺麗なのは当たり前では?と思ってしまう)
それならゆっくり二人の時間を過ごせる場所に行こうということで、最近はクリスマスにあえて温泉地に行っている。
クリスマスというより一年を労う会という感覚である。
箱根という街
ここで箱根について説明したい。
箱根は全国的にも有名な温泉地である。毎年正月に駅伝やってるのも理由の一つかもしれない。
都会からのアクセスもしやすい方で、おそらく温泉界隈でもお値段は張る方である。
特徴的なのが、箱根というのは複数ある温泉エリアの総称であること。
箱根に行くとなるとまず皆が訪れるのが、箱根湯本。新宿から出ている小田急ロマンスカーの終着駅であり、ここが箱根の玄関口である。一番ここが栄えている。
私は箱根に過去二回行ったことがあったが、どちらも箱根湯本までしか行ったことがなかった。
実はここから別の電車に乗り換えることで奥のエリアに行けるのだ。
今回私達が宿泊する宿はこの先のエリアにあった。
奥の世界
私達は昼過ぎに箱根湯本に到着した。
(一応クリスマスなので途中でケーキを購入した)
箱根湯本から"箱根登山鉄道"という電車に乗ると、箱根の山をぐんぐん登っていく。
(写真を撮り忘れた…)
この箱根登山鉄道は、電車としては日本最大、世界でも二位の傾斜角を登るらしく、あまりにも傾斜が厳しいため、世界的にも珍しい"スイッチバック"方式を採用している。
途中、平坦な場所で電車が停車し、進行方向を逆にして登っていくのだ。
そのため、運転手と車掌が途中で入れ替わる。
それも複数回。
鉄道好きからするとたまらないと思う。
山の中をずっと登っていく。見えるのはほぼ全て山。
この先に温泉エリアなんてあるのかと思いながら乗ること40分。
終着駅の強羅に到着。
私達の宿がある場所だ。
今まで箱根湯本までしか行ったことがなかった私からすれば、その先のエリアは「RPGのDLCで新マップ開放されたとき」のような「え、まだこの先あったの!?」という感覚だった。
強羅というエリアは、平坦な場所は一切存在しない。山の斜面にそのまま建物をたくさん建てたというような場所(めちゃ激坂)で、店というものはほとんどなく温泉宿が斜面に並んでいる。
(しょせんはDLCである。作り込みが甘い。)
私達は今回強羅までだったが、さらにこの強羅からロープウェイに乗ると、大涌谷(温泉が湧き出ている火山口)や芦ノ湖といった観光地に行くことができるが、おそらく宿はない。
たとえるならこのロープウェイに乗ると伝説のポケモンがいて、この強羅が最後のポケモンセンター、という感じである。
宿で過ごす時間
宿について、早速温泉に入る。
湯船につかりボーッと天井を見る。
「今年はいろいろあったな」などと一年を振り返る。
壁にかかれた、ここの「温泉の効能」を読みながら、「効能がいろいろ書いてあるけど、血流促進や疲労回復は、お風呂に入ることの効能であって温泉の効能ではないだろ」なんて一人でツッコミを入れる。
満足したので風呂から上がる。
部屋に戻ると夕食まで少し時間があった。
妻は温泉で気持ちよくなったのか寝てしまった。
私は夕方のニュースを見ながら、持ってきたSwitchを取り出しポケモンをプレイする。
夕食は温泉にしては珍しくきちんとした洋食のコース料理。
美味かった。
↑これが温泉で食べるメインディッシュだ
子供のいる部屋には「サンタが来る」ことになっているらしく、サンタとトナカイの衣装を着たスタッフがおもちゃを持って各部屋をまわっていた。
微笑ましかった。
部屋に戻ったら金曜ロードショーで「ホームアローン」がやっていた。
「これ毎年やってるよね!?」と言いながらもついつい見てしまう。
もう一度温泉に入る。
温泉は何度入っても良い。
部屋に戻りいい湯だったと言いながらスマホをいじっていたら気が付いたら寝てしまっていた。
久しぶりの時間
翌朝、朝食をとり、宿を出た。
帰りの電車に乗りながら、とても良かったと妻と話す。
最近はいろいろと何かに追われていた私達にとって久しぶりの「何もしなくてもいい時間」だった。
特にどこか名所を見て回ったわけではない。
ただ、クソ寒い山奥に行って風呂に入っただけだ。
このような時間は本当に良いと思った。