「ソーシャルディスタンス」という言葉は適切なのか

2020年、新型コロナウイルスの大流行によって世界は新たな局面に進んでいる。

 

今年だけでもかなり多くの言葉がコロナ関連で流行ったように思う。

 

3密、PCR、ロックダウン、アベノマスク、Go To、アマビエ…

 

今年の流行語は何になるのか全く予想がつかないが、

 

そのなかでも有力候補は”ソーシャルディスタンス”であろう。

 

他人と2m以上の間隔をあけましょうということで、

 

今や街のいたるところでこの言葉を目にする。

 

 

 

しかし、私はこの言葉が好きではない。

 

 

勘違いしてほしくないのだが、私は別に2m以上の間隔をあけることに異議を唱えたいわけではない。

 

 

”2m以上間隔をあけること”を表現する言葉として”ソーシャルディスタンス”がふさわしくないと思うのだ。

 

 

 

 

ここでソーシャルディスタンスという言葉をよーく考えていただきたい。

 

"Social Distance" 直訳すると「社会的な距離」である。

 

 

「社会的」という言葉はその名の通り、「社会における~」といった意味である。

 

社会的弱者と言えば、社会における弱者、すなわち金銭面や立場といった面での弱い存在を意味する。

 

決して筋肉のない人間を指しているわけではない。

 

 

 

それでは、先入観を抜きにして「社会的な距離」と聞いてどういったことを思い浮かべるだろうか。

 

私は「社会における距離」とは人間関係における距離感を思い浮かべる。

 

例えば、接点は多いけどあまり打ち解けられていない人などに対して「社会的な距離」があると言うのではないだろうか。

 

 

では「2m以上間隔をあけること」は何と呼べばよいのだろう。

 

答えは簡単である。

 

「物理的な距離」である。

 

 

筋肉のないガリガリな人は「物理的弱者」であるのと同じように、

 

「2m以上間隔をあけること」は「物理的距離」ではないか。

 

 

"ソーシャルディスタンス”ではない。

 

むしろその逆”フィジカルディスタンス”である。

 

 

このことに気付いてから私はテレビや街などで”ソーシャルディスタンス”という言葉を目にするたびにむずむずして仕方がないのだ。