エスカレーターの攻防

私はとある駅のエスカレーターに乗って、地下に下っていた。

 

そのエスカレーターはかなり長い。

歩かない場合は1分くらいかかる。

 

私は特に急いでいなかったので、左側に立っていた。

 

すると、後方から大きな足音とともに男性が急ぎ足で降りてきた。

その人は相当急いでいるようだった。

 

しかし、その人は私の目の前で立ち止まることになった。

私の目の前には中年くらいの男女が斜めに立っており、急いでいるその男性が通れなかったのだ。

私の目の前(左側)に中年女性が立ち、その女性の右斜め前に中年男性が立っている形だった。

 

急いでいる男性は、暗に「どけてほしい」という気持ちを込めたのか、大きな足音を立てて止まった。

 

左側の中年女性がそれに気付き、中年男性に「左側に避けたらどうか」という仕草で、中年男性の服を少し引っ張った。

 

すると、中年男性はそれを拒否した。

無言で中年女性に軽く目配せし、全く動こうとしなかった。

そして、気だるそうに上方を見つめていた。

明らかにあれは後ろの男性に対する「どかないよ」という拒否のメッセージだった。

 

 

中年男性が何を思ったのかは私にはわからない。

エスカレーターは歩かず立ち止まるべき」という考えを強く持っているのかもしれないし、ただ苛々していただけかもしれない。

 

 

この記事で私はこの行為が正しいかどうかを議論するつもりはない。

(おそらく答えは出ない)

 

ただ私は「この中年男性すげえな」と思った。

少なくとも私は左側に避けてしまう。

もしこの急いでいる男性が喧嘩っ早い人だったらどうするのだ。

トラブルになる可能性も十分にある。

横にズレることでそのリスクを消せるなら安いと思う。

 

 

一つ言えるのは、この中年男性と一緒に仕事すると面倒くさそうだなということ。

あれだけメンタルが強いのは羨ましいが。

 

 

私はこの様子を見ながら、この男性が目の前の中年男性を押し退けて無理矢理通ろうとしてくれないかなと少し期待していた。

すると中年男性はどう反応するのか見てみたかった。

 

そんなことは起きなかったので少しガッカリした。